古代エジプトが
六本木に出現!

ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群が東京・六本木に集結。
彫刻、棺、宝飾品、陶器、パピルス、そして人間やネコのミイラなど約150点の遺物を通じて、私たちの想像を超える高度な文化を創出した人々の営みをひも解きます。

謎に満ちた三千年をともに旅する案内人は、いま注目を集める気鋭のエジプト考古学者、河江肖剰。
人々はどんな暮らしを営み、何を食べ、何を畏れていたのか。彼らはどんな言語を話し、何を書き残したのか。ピラミッドはなぜ、どのようにして造られたのか。ミイラに託されたメッセージは。そして死後の世界とは。
これまでのエジプト展で見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッドの研究成果まで、映像や音声も交えて紹介します。

三千年の謎を掘り起こし、知への探求心を呼び覚ます空間。六本木に広がる古代エジプトの世界へ、ようこそ。

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    ブルックリン博物館が所蔵する米国最大規模の質の高い古代エジプト美術コレクション来日!

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    人間のミイラが2体、さらに動物のミイラも展示!

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    河江肖剰が携わるピラミッドの最新調査・研究の成果を紹介!

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    古代エジプト語の呪文を音声で再現!

©Yukinori Kawae

1st Stage 古代エジプト人の謎を解け!

謎の多い古代エジプト文明の「日常生活」を描きだす

日本国内ではこれまでも数々の古代エジプト展が人気を博してきたが、そこに生きる人々の営みについては、意外にも多くは語られてこなかった。
このステージでは、現在から遡ること5000年以上前から高度な文明があったことを物語る資料をはじめ、古代エジプト人の日常生活が垣間見える作品の数々を展観する。
当時の住居環境、食生活、仕事事情、身だしなみ、出産や子育てなどにも着目し、現代の生活へもつながる身近な謎を掘り起こす。

2nd Stage ファラオの実像を解明せよ

謎に包まれたファラオたちの権力とその実像を解明する

古代エジプトで絶対的な権力を有したとされるファラオ(王)。ピラミッドや神殿など壮大な建築物や装飾の数々からは、当時の彼らの威光を垣間見ることができる。
2nd Stageでは、クフ王やラメセス2世など、先王朝時代からプトレマイオス朝時代まで3000年の王朝史を通じて活躍した12人の王にまつわる作品を紹介し、王の姿と王朝の変遷をたどる。
また最新研究を元に、巨大ピラミッドの建築方法や建てられた当初の姿を解き明かす。

Final Stage 死後の世界の門をたたけ!

古代エジプト人のユニークな死生観にまつわる謎を紹介

古代エジプトでは、人は死後、来世で復活し永遠の命を得ることができると信じられていた。
最後のステージでは、人や動物のミイラをはじめ、美しい副葬品の数々や葬儀のための道具、神々の姿をあらわしたレリーフなど、葬送儀礼に関する作品を紹介。
ミイラはなぜ、どのように作られたのか?など、古代エジプト人の死生観にせまる。
また、ベールに包まれた古代エジプト語の真の音声を再現。現存最古の葬送文書である『ピラミッド・テキスト』を読み上げる声が、会場で厳かな空間を演出する。

ブルックリン博物館外観 Photo: Brooklyn Museum, Danny Perez

ブルックリン博物館

ブルックリン博物館はニューヨーク市ブルックリン区にあり、1895年に開館したアメリカ国内でも長い歴史を持つ博物館です。
ニューヨークではメトロポリタン美術館に次ぐ2番目に大きい美術博物館として収蔵品は150万点を超え、モネやドガ、シスレー、ピサロ、ルノワール、クールベなど印象派の絵画や、浮世絵のコレクションも充実しています。
なかでも、米国で最大かつ最も質の高い古代エジプト美術コレクションは、彫刻、レリーフ、絵画、陶器、パピルスなど、1200点を超える貴重な作品を含み、同館最大の見どころとして世界的に注目されています。
特に、実物のミイラや埋葬の儀式に関連する品々が並ぶ「ミイラの間」は、永遠の命を確実にするために体を保存を必要とするという古代エジプトの信仰心を探求する展示として、博物館の人気スポットとなっています。

エカテリーナ·バーバッシュのポートレート

ブルックリン博物館
エジプト·古典·古代近東美術
キュレーター

エカテリーナ・バーバッシュ

Dr. Yekaterina Barbash

Curator, Egyptian, Classical, Ancient Near Eastern Art, Brooklyn Museum, Yekaterina Barbash. 2015. Brooklyn Museum (Photo: Elena Olivo)

エカテリーナ·バーバッシュのポートレート

ブルックリン博物館
エジプト・古典・古代近東美術
アシスタント・キュレーター

モーガン・モロニー

Dr. Morgan Morone

Assistant Curator, Egyptian, Classical, Ancient Near Eastern Art, Brooklyn Museum, Morgan Moroney, 2019. Brooklyn Museum (Photo: Jessica Spruill)

河江肖剰のポートレート

本展監修

河江肖剰 かわえゆきのり

エジプト考古学者/名古屋大学高等研究院准教授

1972年、兵庫県生まれ。1992年から2008年までカイロ在住。カイロ・アメリカン大学エジプト学科卒業。2012年、名古屋大学で歴史学博士号を取得。サッカラの階段ピラミッド、ギザの3大ピラミッドとスフィンクス、アブシールのピラミッド群の3D計測調査、「ピラミッド・タウン」やシンキの小型ピラミッドの発掘など、様々な考古学調査に20年以上にわたって従事。2016年、ナショナル ジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーに選出される。

[受賞]

  • American University in Cairo, Ahmed Fakhry Award
  • American University in Cairo, the Humanities and Social Sciences Honor
  • 名古屋大学、名古屋大学学術奨励賞受賞
  • ナショナル ジオグラフィック日本版、「日本のエクスプローラー」
  • National Geographic Society, “the 2016 class Emerging Explorer”
  • Premio Internazionale Giuseppe Sciacca (Archaeology)

映像協力

World Scan Project

名古屋大学との共同調査にてエジプト現地で測量した精巧な解析データと、実写映像を織り交ぜたピラミッドの最新調査を映像にして紹介します。ピラミッドとその内部、普段は見ることのできない貴重な映像と、最新の解析データによって明らかになった新発見や内部に秘められた謎に迫ります。

ワールドスキャンプロジェクトでは、ドローン技術と3DCGデータ化技術を用いて、世界的な建築物や歴史ある遺跡などを、今ある姿そのままに3DCGデータで再現・デジタル保管することにより、未来へと残していくことを目標としています。データの収集には、一眼レフカメラや高性能ドローン、レーザースキャナ等を使用しているため、学術的な活用も可能なほど精密に再現されたデータを作成することが可能です。現在までに、エジプトにあるピラミッドや神殿をはじめとし、ペルーの遺跡、サイパンの戦跡、水中に沈んだ駆逐艦などの3DCGデータ化に成功しています。制作された3DCGデータは、世界中の人がいつ・どこでも楽しめるAR・VRコンテンツとして提供しています。また、貴重な学術的データとして活用するため、企業・研究者との共同プロジェクトも行っています。


音声協力

宮川創 みやがわそう

筑波大学准教授/エジプト学、コプト学博士

筑波大学准教授/エジプト学・コプト学博士(ゲッティンゲン大学)
コプト語以前の古代エジプト語は基本的に子音しか表記されない文字体系であるヒエログリフ、ヒエラティック、あるいは、デモティックで書かれたため、実際の発音が不明でした。本展で宮川氏は、現存最古の葬送文書ともいわれる『ピラミッド・テキスト』を当時の人々が話していたであろう古代エジプト語の「発音」によって再現。会場では、Final Stage「死後の世界の門をたたけ!」で古代エジプト語の音声が流れるなか作品を鑑賞することができます。(再建の可能性の一つとして注目される、古代エジプト語学者ジェームズ・アレン氏による、『ピラミッド・テキスト』スペル436の音声再建の研究を元にしています)

プロフィール

河江肖剰のポートレート

京都大学大学院文学研究科博士前期課程修了。ゲッティンゲン大学にて博士号取得。現在、筑波大学人文社会系准教授、国立国語研究所客員准教授。
早稲田大学・東北大学・駒澤大学・東京外国語大学オープンアカデミーなどでも非常勤講師を務める。 東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)創発戦略研究オープンラボ(ROLES)Humanitas Futura プロジェクトメンバー。
近著に『読めない文字に挑んだ人々:ヒエログリフ解読1600年史』(河合望監修、山川出版社、2024年)